「若者を殺し続けるブラック企業の構造」川村遼平著

公開日: 更新日:

■ブラック企業

 去年の流行語大賞のトップテンにも入った「ブラック企業」。アベノミクス格差社会でのさばる労働搾取の実態は?

■不況下で過酷化する雇用慣行と過労死の実態

 若者の労働相談を受けるNPO法人に関わり、大学院生の今は事務局長を務める著者。ブラック企業問題は最初からつぶさに知る。たとえば「幹部候補パート」という名目で小売店に勤めた女性。労働時間だけは「幹部候補」で給与や福利の面では「パート」という待遇に苦しみ、自殺に至った。背景には正規・非正規の別を会社の意図で決定できるという日本独自の労働慣行だ。女性の母は組合に相談。ところが応対した組合幹部は遺族が騒ぐと「会社がつぶれてもっと多くの人が命を落とすかもしれないんですよ」と言い放ったという。企業別労組は働き過ぎを許してきたのだ。不況下で過酷化する雇用慣行と過労死の多様化の実態がよくわかる。
(KADOKAWA 800円)


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人がソフトB自由契約・有原航平に「3年20億円規模」の破格条件を準備 満を持しての交渉乗り出しへ

  2. 2

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  3. 3

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  4. 4

    日吉マムシダニに轟いた錦織圭への歓声とタメ息…日本テニス協会はこれを新たな出発点にしてほしい

  5. 5

    巨人正捕手は岸田を筆頭に、甲斐と山瀬が争う構図…ほぼ“出番消失”小林誠司&大城卓三の末路

  1. 6

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  2. 7

    SBI新生銀が「貯金量107兆円」のJAグループマネーにリーチ…農林中金と資本提携し再上場へ

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    「ばけばけ」苦戦は佐藤浩市の息子で3世俳優・寛一郎のパンチ力不足が一因