「シモネッタのどこまでいっても男と女」田丸公美子氏

公開日: 更新日:

■「夫婦は“割れ鍋にとじぶた”。諦念の境地で耐えるしかないわね」

“シモネッタ”とは、ハイレベルの下ネタを繰り出す著者に、ロシア語通訳の第一人者で親友の故・米原万里氏が授けたニックネーム。軽妙な語り口にファンの多いエッセー「シモネッタ」シリーズの最新作となる本書では、“これまで極力秘してきた”という夫とのなれそめなどがつまびらかにされている。

「編集者の口車に乗せられて、小説現代に原稿用紙2枚程度で連載していたのが始まり。夫には内緒で書いていたのよ。月刊雑誌だし、読み捨ててもらえると思って。なのに本になって残っちゃった。夫はそこで初めて内容を読んで、機嫌が悪くなっていたわね(笑い)」

 結婚のきっかけは1974年の8月、イタリア語通訳をしていた著者が、疲労から腎盂(じんう)炎を発症したことだった。暑い部屋で寝込んでいた彼女を病院に連れていき、クーラーのある自宅に“お持ち帰り”したのが、当時ビジネスレターの翻訳に通っていた会社の上司だった夫だ。

「なぜ結婚したかと聞かれれば、“暑かったから”ね。夫はこの後会社を辞めて、次々に奇抜なアイデアを事業にしては失敗して、お金を払うのは私。友人に職業を尋ねられると、“組紐(くみひも)学園の理事をしています。なんせ、クミコのヒモですから”と言って大笑いしてるんです。お金は出すけど皮肉も言う私は、夫から“罵倒(馬頭)観音”と呼ばれながらも、慈愛深く見守っているわ」

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは

  4. 4

    柳田悠岐の戦線復帰に球団内外で「微妙な温度差」…ソフトBは決して歓迎ムードだけじゃない

  5. 5

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    ローラの「田植え」素足だけでないもう1つのトバッチリ…“パソナ案件”ジローラモと同列扱いに

  3. 8

    ヤクルト高津監督「途中休養Xデー」が話題だが…球団関係者から聞こえる「意外な展望」

  4. 9

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  5. 10

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?