「やくざと芸能と」なべおさみ著

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 長年コメディアンとしてテレビや映画で活躍し、最近は舞台や講演を中心に活動している著者による日本芸能史。前半は構成作家や付き人としてスタートしコメディアンとして身を立てるまでの自身の半生がつづられているが、後半はアウトローとして生きるやくざと芸能人の共通点や日本人のルーツや政治と芸能のつながりなど、表立っては語られてこなかった芸能史を独自の視点から考察。単なるタレント本にとどまらず、日本の芸能史と共に日本人論が語られていく。

 著者の広い交友関係が織り成すエピソードの数々も面白い。銀座を闊歩するヤクザの親分から、白洲次郎、石津謙介、水原弘、加賀まりこ、大原麗子、火野正平、さらには金丸信や鈴木宗男、安倍晋太郎などの政治家や美智子妃や天皇陛下までもが登場する。

 社会の枠をはずれ、やくざな生き方をしてきた芸能の世界が、百姓一揆や反乱を防ぐ「ガス抜き」の政策としての役割もあったとも指摘。やくざの語源から、古代ヘブライ語と日本語の共通性、日本のカースト制度や同和問題など、古文書や研究者をあたって研究した成果が披露されている。

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