「やくざと芸能と」なべおさみ著

公開日: 更新日:

 長年コメディアンとしてテレビや映画で活躍し、最近は舞台や講演を中心に活動している著者による日本芸能史。前半は構成作家や付き人としてスタートしコメディアンとして身を立てるまでの自身の半生がつづられているが、後半はアウトローとして生きるやくざと芸能人の共通点や日本人のルーツや政治と芸能のつながりなど、表立っては語られてこなかった芸能史を独自の視点から考察。単なるタレント本にとどまらず、日本の芸能史と共に日本人論が語られていく。

 著者の広い交友関係が織り成すエピソードの数々も面白い。銀座を闊歩するヤクザの親分から、白洲次郎、石津謙介、水原弘、加賀まりこ、大原麗子、火野正平、さらには金丸信や鈴木宗男、安倍晋太郎などの政治家や美智子妃や天皇陛下までもが登場する。

 社会の枠をはずれ、やくざな生き方をしてきた芸能の世界が、百姓一揆や反乱を防ぐ「ガス抜き」の政策としての役割もあったとも指摘。やくざの語源から、古代ヘブライ語と日本語の共通性、日本のカースト制度や同和問題など、古文書や研究者をあたって研究した成果が披露されている。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  2. 2

    【原田真二と秋元康】が10歳上の沢田研二に提供した『ノンポリシー』のこと

  3. 3

    カーリング女子フォルティウスのミラノ五輪表彰台は23歳リザーブ小林未奈の「夜活」次第

  4. 4

    3度目の日本記録更新 マラソン大迫傑は目的と手段が明確で“分かりやすい”から面白い

  5. 5

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  1. 6

    福山雅治&稲葉浩志の“新ラブソング”がクリスマス定番曲に殴り込み! 名曲「クリスマス・イブ」などに迫るか

  2. 7

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  3. 8

    松岡昌宏も日テレに"反撃"…すでに元TOKIO不在の『ザ!鉄腕!DASH!!』がそれでも番組を打ち切れなかった事情

  4. 9

    年末年始はウッチャンナンチャンのかつての人気番組が放送…“復活特番”はどんなタイミングで決まるの?

  5. 10

    査定担当から浴びせられた辛辣な低評価の数々…球団はオレを必要としているのかと疑念を抱くようになった