「切り裂きジャック127年目の真実」ラッセル・エドワーズ著、深澤誉子訳
19世紀最悪の猟奇事件として知られる、ロンドンの切り裂きジャック事件。公式には5人の売春婦が被害者とされ、多くの人が犯人捜しにやっきになったものの、結局迷宮入りしてしまった。本書は、この事件に興味を持った起業家が、事件現場に残されていたショールをオークションで手に入れ、ついに犯人特定にまで至る驚きのルポルタージュだ。
まずは事件当時、貧困のために身を売らざるを得なくなった女性たちが犠牲になった現場に足を運び、それぞれの事件を詳細に洗い出していく。その結果、公式発表された事件よりも前に起きた別の殺人事件も切り裂きジャックによる犯行なのではないかと推理。さらに、手に入れたショールに血液や人体の部位が付着した形跡があり、そこから採取されたDNAが当時容疑者として挙げられていた一人の子孫のDNAと一致することを専門家の協力のもとで突き止めた。
読み手も著者の推理熱に巻き込まれること必至だ。
(KADOKAWA 1800円+税)