「地方消滅の罠」山下祐介著
「2040年までに全国の市町村の半数が消滅する可能性がある」とした、昨年5月の日本創成会議・人口減少問題検討分科会の報告、通称「増田レポート」は社会に大きな衝撃を与えた。著者は提言が対抗策として「選択と集中」を掲げ、地方消滅が既定路線であるかのように世の中を導いていることに疑問を投げかける。
国民の間にこの問題に対する「諦め」を誘発し、「人口減少ショック」を利用してこの国を何らかの方向に動かそうとしている人がいる可能性もあると指摘。「選択と集中」論は、地方・農家・弱者の切り捨てに帰結すると批判する著者が増田レポートの偽りを暴き、地方再生の論理と道筋を示した警世書。
(筑摩書房 900円+税)