「路地裏の資本主義」平川克美氏

公開日: 更新日:

 理想的システムといわれ、世界でもっとも広く採用されてきた資本主義。日本も資本主義の下、経済成長戦略を唱え、グローバル競争に勝ち抜くと言い続けている。

「経済は数字だけを見ていると分からないものですが、生活に目を向ければ何がウソで、どんなふうに目をふさがれているのかが分かるものです。アベノミクスなどその典型で、人口減、高齢化社会、右肩下がりの経済状況の日本を見れば、今後経済成長はありえません。では経済成長しない中で、私たちはどう生きていくか。その方法を私なりに探ったのが本書」

 著者がそのひとつとして挙げるのが、野良猫がすみ着くような、昔ながらの町のシステムだ。自身も数年前、池上線のローカルな地域に事務所と住まいを移した。

「野良猫が生きていける自然が残り、商店街を利用して互いの顔が見える生活をしていく。小商いがつくり出す経済は小さいものですが、その代わり大きな浮き沈みのない定常経済が生まれます。もちろん、顔が見える生活はわずらわしさもあります。しかし、都会の大量生産、大量消費の中での暮らしにおいては金があるか否かだけがモノサシで、人間は顔のない消費者になってしまった。そして、金の切れ目が縁の切れ目の無縁社会をつくり出したわけです。これから私たちに必要なのは、小商いを中心とした、都会のそれとは反対の、“縁の継ぎ目が金の継ぎ目”の社会です」

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  2. 2

    マエケンは「田中将大を反面教師に」…巨人とヤクルトを蹴って楽天入りの深層

  3. 3

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  4. 4

    SBI新生銀が「貯金量107兆円」のJAグループマネーにリーチ…農林中金と資本提携し再上場へ

  5. 5

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  1. 6

    陰謀論もここまで? 美智子上皇后様をめぐりXで怪しい主張相次ぐ

  2. 7

    白木彩奈は“あの頃のガッキー”にも通じる輝きを放つ

  3. 8

    渋野日向子の今季米ツアー獲得賞金「約6933万円」の衝撃…23試合でトップ10入りたった1回

  4. 9

    12.2保険証全面切り替えで「いったん10割負担」が激増! 血税溶かすマイナトラブル“無間地獄”の愚

  5. 10

    日本相撲協会・八角理事長に聞く 貴景勝はなぜ横綱になれない? 貴乃花の元弟子だから?