「『スイス諜報網』の日米終戦工作」有馬哲夫著

公開日: 更新日:

 昭和20年、「国体護持」と「天皇制存置」が決して譲れない降伏条件だった日本の戦争指導者と昭和天皇がポツダム宣言受諾に至ったのはなぜか。その舞台となったスイスでの終戦工作を検証した歴史テキスト。

 工作の中心人物と自認するスイス公使館付海軍中佐・藤村義朗が戦後に発表した記事によると、交渉はOSS(米大統領直属の諜報機関)スイス支局長のダレスとの間で4月から行われ、失敗に終わったとされてきた。著者は、新たに発掘した歴史資料を読み解きながら、そもそも藤村が日本側の中心者ではなかったことを明らかにする。一方でダレスを軸に、亡命ドイツ人武器商や、国際決済銀行幹部らが暗躍した諜報網による終戦工作の全体像が描かれる。(新潮社 1400円+税)

【連載】BOOKレビュー

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  2. 2

    福山雅治&稲葉浩志の“新ラブソング”がクリスマス定番曲に殴り込み! 名曲「クリスマス・イブ」などに迫るか

  3. 3

    年末年始はウッチャンナンチャンのかつての人気番組が放送…“復活特番”はどんなタイミングで決まるの?

  4. 4

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  5. 5

    やす子の毒舌芸またもや炎上のナゼ…「だからデビューできない」執拗な“イジり”に猪狩蒼弥のファン激怒

  1. 6

    羽鳥慎一アナが「好きな男性アナランキング2025」首位陥落で3位に…1強時代からピークアウトの業界評

  2. 7

    【原田真二と秋元康】が10歳上の沢田研二に提供した『ノンポリシー』のこと

  3. 8

    査定担当から浴びせられた辛辣な低評価の数々…球団はオレを必要としているのかと疑念を抱くようになった

  4. 9

    渡部建「多目的トイレ不倫」謝罪会見から5年でも続く「許してもらえないキャラ」…脱皮のタイミングは佐々木希が握る

  5. 10

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」