「明仁天皇と平和主義」斉藤利彦著

公開日: 更新日:

 今春、太平洋戦争の激戦地パラオ諸島ペリリュー島を訪問するなど、天皇と皇后は即位以来、一貫して戦争の惨禍と向き合い、追悼と慰霊の旅を重ねてきた。その姿は、戦争の記憶を絶対に忘れてはならないという信念を身をもってあらわしてきたといえる。

 その信念がどのように形作られてきたのか、平和を希求する天皇の自己形成の道程をたどる考察書。

 少年時代に将来の天皇としてあるべき姿を強制される中で芽生えたと思われる「非権力性への志向」をはじめ、終戦後に採用されたアメリカ人女性家庭教師の影響、「平和の同志」となる皇后との出会いなど、苦悩と模索を続けながら「象徴天皇」としての理念と行動を実現していくその歩みの原動力に迫る。(朝日新聞出版 760円+税)

【連載】新書あらかると

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    名球会入り条件「200勝投手」は絶滅危機…巨人・田中将大でもプロ19年で四苦八苦

  2. 2

    永野芽郁に貼られた「悪女」のレッテル…共演者キラー超えて、今後は“共演NG”続出不可避

  3. 3

    落合監督は投手起用に一切ノータッチ。全面的に任せられたオレはやりがいと緊張感があった

  4. 4

    07年日本S、落合監督とオレが完全試合継続中の山井を八回で降板させた本当の理由(上)

  5. 5

    巨人キャベッジが“舐めプ”から一転…阿部監督ブチギレで襟を正した本当の理由

  1. 6

    今思えばあの時から…落合博満さんが“秘密主義”になったワケ

  2. 7

    巨人・田中将大が好投しても勝てないワケ…“天敵”がズバリ指摘「全然悪くない。ただ…」

  3. 8

    高市早苗氏が必死のイメチェン!「裏金議員隠し」と「ほんわかメーク」で打倒進次郎氏にメラメラ

  4. 9

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性

  5. 10

    三角関係報道で蘇った坂口健太郎の"超マメ男"ぶり 永野芽郁を虜…高畑充希の誕生日に手渡した大きな花束