「23区格差」池田利道著

公開日: 更新日:

 東京一極集中といったとき、東京はひとくくりにして語られがちだが、その内部を分析すれば「多様なまちの集合体」であることがパワーの源泉になっていることが見えてくる。本書は、多様な人々や価値観を受け入れてきた東京の核を構成する23区にスポットを当てて、それぞれの魅力となる特性や懸念すべき点をさまざまなデータをもとに解説した一冊だ。

 たとえば2012年の1人あたりの課税対象となる年間所得が港区では900万円を超えるのに対し、最下位の足立区は323万円となっており、約3倍もの差がある。また高齢化率1位の北区は24%、2位の台東区は23・6%と数値的には大きな差がないにもかかわらず、高齢者就業率を見れば台東区は23区中2位の42・8%であるのに対して北区は23区最低の24%となっており、それぞれの高齢者像に違いがあるという。

 最終章では「住んでいい区・よくない区を見極める方法」を解説。過去の遺産が引き継がれた東京の変遷の歴史を知り、長期的なスタンスで区を見ていくと、定住率が高い区より低い区の方が勝ち組になっているという指摘も興味深い。(中央公論新社 880円+税)




【連載】ベストセラー早読み

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    横浜・村田監督が3年前のパワハラ騒動を語る「選手が『気にしないで行きましょう』と…」

  2. 2

    文春が報じた中居正広「性暴力」の全貌…守秘義務の情報がなぜこうも都合よく漏れるのか?

  3. 3

    マツコが股関節亜脱臼でレギュラー番組欠席…原因はやはりインドアでの“自堕落”な「動かない」生活か

  4. 4

    松井秀喜氏タジタジ、岡本和真も困惑…長嶋茂雄さん追悼試合のウラで巨人重鎮OBが“異例の要請”

  5. 5

    巨人・田中将大と“魔改造コーチ”の間に微妙な空気…甘言ささやく桑田二軍監督へ乗り換えていた

  1. 6

    5億円豪邸も…岡田准一は“マスオさん状態”になる可能性

  2. 7

    小泉進次郎氏8.15“朝イチ靖国参拝”は完全裏目…保守すり寄りパフォーマンスへの落胆と今後の懸念

  3. 8

    渡邊渚“初グラビア写真集”で「ひしゃげたバスト」大胆披露…評論家も思わず凝視

  4. 9

    「石破おろし」攻防いよいよ本格化…19日に自民選管初会合→総裁選前倒し検討開始も、国民不在は変わらず

  5. 10

    大の里&豊昇龍は“金星の使者”…両横綱の体たらくで出費かさみ相撲協会は戦々恐々