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「モナドの領域」筒井康隆著

 肩口からスパッと切断されたような女の片腕が、河川敷で発見された。腕にはなぜかバラバラ事件の陰惨さが感じられず、静かで、美しくさえあった。この事件を発端に、奇妙なことが起こり始める。

 現場に近いベーカリーでは、発見された腕にそっくりのバゲットが売り出されて評判になり、行列ができた。店の常連である美大の教授の様子が突然おかしくなり、奇妙な力を発揮しだした。先生は神様なのか? 平凡な町に降臨した「ゴッド」は、造物主。人間がつくり出した神を超越した存在だ。庶民一人一人の個人的事情から、宇宙の真理まで、何もかも知っている。

 ゴッドはある意図をもって戦略的にメディアに登場し、有識者との哲学問答を繰り広げて、宇宙の真理を解き明かしていく。ゴッドは決して怒らず、親しみさえ感じさせる。しかし、人間の所業には決して介入しない。創造の時点で予定された宇宙の調和を厳然と守っている。ゴッドいわく。「おまえさんたちの絶滅は実に美しい」。ゴッドは人間を、戦争からも破滅からも、救ってはくれないのだ。

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