一向に打開の兆しのない「沖縄問題」の実態と真実に迫る

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「沖縄自立の経済学」屋嘉宗彦著

 米軍基地依存といわれる沖縄経済。その実態はどうなのか。沖縄出身の経済学者である著者によれば問題点は2つ。

 第1は沖縄が県外に売る収益が8413億円、県外から買う支出は1兆5710億円と、県際収支が著しく不均衡なこと。第2は県や市町村政府による経済活動に占める割合が、他府県25%に対して沖縄は40%と非常に大きい。このため沖縄の地域経済は自立からほど遠くなっている。

 特に沖縄は農業が主要産業だが、戦後の日本政府は一貫して農業自給率を下げる政策をつづけ、農業従事者の未来を期待できないものにしてきた。沖縄は72年の本土「復帰」後、成長路線が陰る中で本土中心の全総(全国総合開発計画)に組み込まれたことで余計に不利になってきた。

 要は沖縄の「自立不全」は単に地元の責任ではないのだ。著者はあくまで冷静に議論を進めつつ政府の沖縄振興計画の見込みの甘さ、80年代に始まった大規模リゾート開発の欠点などを点検していく。政治とは違った観点からの鋭い問題提起。(七つ森書館 2200円+税)

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