「幕末の女医、松岡小鶴」門玲子編著

公開日: 更新日:

 日本の民俗学の父・柳田国男、画家・松岡映丘の祖母、松岡小鶴は、江戸時代にまだ珍しかった女医だった。養子の夫を父に離縁され、父の死後、医業を継いだ。女性には珍しく多くの漢詩を残しているが、ナメクジと対話する作品もある。

「うねうね腹這って生涯を終えるまでに、一尺も動くだろうか」とからかうと、ナメクジは「洪鑢我に賦う些かの形と気 人神機と喚も我焉んぞ知らんや(万物を造り出す天の大きな溶鉱炉が、私にこの小さな形と気を与えた 人はこれを神の働きと言うが、私がどうしてそれを知ろうか)」と答える。

 ユーモラスだが哲学的な漢詩を書いた女医の生涯と作品を紹介する。(藤原書店 3200円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    元横綱・三重ノ海剛司さんは邸宅で毎日のんびりの日々 今の時代の「弟子を育てる」難しさも語る

  2. 2

    矢沢永吉&甲斐よしひろ“70代レジェンド”に東京の夜が熱狂!鈴木京香もうっとりの裏で「残る不安」

  3. 3

    巨人・岡本和真を直撃「メジャー挑戦組が“辞退”する中、侍J強化試合になぜ出場?」

  4. 4

    “最強の新弟子”旭富士に歴代最速スピード出世の期待…「関取までは無敗で行ける」の見立てまで

  5. 5

    “文春砲”で不倫バレ柳裕也の中日残留に飛び交う憶測…巨人はソフトB有原まで逃しFA戦線いきなり2敗

  1. 6

    【独自】自維連立のキーマン 遠藤敬首相補佐官に企業からの違法な寄付疑惑浮上

  2. 7

    物価高放置のバラマキ経済対策に「消費不況の恐れ」と専門家警鐘…「高すぎてコメ買えない」が暗示するもの

  3. 8

    福島市長選で与野党相乗り現職が大差で落選…「既成政党NO」の地殻変動なのか

  4. 9

    Snow Manライブで"全裸"ファンの怪情報も…他グループにも出没する下着や水着"珍客"は犯罪じゃないの?

  5. 10

    今の渋野日向子にはゴルフを遮断し、クラブを持たない休息が必要です