「煽動者」ジェフリー・ディーヴァー著、池田真紀子訳

公開日: 更新日:

 身ぶりや表情から人の思考を読み取るキネシクスの専門家であるキャサリン・ダンスは、ある殺し屋の嘘を見抜けず取り逃がしてしまった責任を取らされ、刑事バッジも拳銃も取り上げられ民事部に異動となった。

 そこで割り当てられたのは、満員のコンサート会場で起きた将棋倒しの事故。ところが、保険にまつわるもろもろの書類仕事で終わるはずが、調べてみると故意に起こされた事件の疑いが出てきた。当初、火災で観客がパニックを起こしたと思われていたが、火元は会場の外にあり、しかも観客が殺到した非常口はトラックで塞がれていたからだ。

 いったい誰が何のためにパニックを“煽動”したのか。物証もなく、動機さえつかめないなか、次の事件が発生する。一刻の猶予もなくすぐにでも真相を掴まなければならないのだが……。

 相手の内面を読み解く女性捜査官が活躍する「キャサリン・ダンス」シリーズの第4弾。かろうじて捜査にはかかわりつつも、左遷の憂き目に遭っている主人公が、するどい観察眼を武器に犯人像に迫っていく。大長編ながら、数々の伏線の後の結末まであっという間の面白さだ。(文藝春秋 2400円+税)


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人がもしFA3連敗ならクビが飛ぶのは誰? 赤っ恥かかされた山口オーナーと阿部監督の怒りの矛先

  2. 2

    大山悠輔が“巨人を蹴った”本当の理由…東京で新居探し説、阪神に抱くトラウマ、条件格差があっても残留のまさか

  3. 3

    悠仁さまの筑波大付属高での成績は? 進学塾に寄せられた情報を総合すると…

  4. 4

    大山悠輔に続き石川柊太にも逃げられ…巨人がFA市場で嫌われる「まさかの理由」をFA当事者が明かす

  5. 5

    織田裕二がフジテレビと決別の衝撃…「踊る大捜査線」続編に出演せず、柳葉敏郎が単独主演

  1. 6

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 7

    ヤクルト村上宗隆と巨人岡本和真 メジャーはどちらを高く評価する? 識者、米スカウトが占う「リアルな数字」

  3. 8

    どうなる?「トリガー条項」…ガソリン補助金で6兆円も投じながら5000億円の税収減に難色の意味不明

  4. 9

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  5. 10

    タイでマッサージ施術後の死亡者が相次ぐ…日本の整体やカイロプラクティック、リラクゼーションは大丈夫か?