「いまさら翼といわれても」米澤穂信著

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 累計200万部を超える人気青春ミステリー、神山高校「古典部」シリーズの最新刊。折木奉太郎、福部里志、伊原摩耶花、千反田える。古典部のメンバー4人が代わる代わる主役をつとめ、互いに助け合う。

 旧家の跡取り娘、千反田は、地元の合唱祭でソロを歌うことになっていた。ところが当日、開演を前に姿を消した。人一倍真面目で責任感の強い彼女がなぜ? 表題作「いまさら翼といわれても」ほか全6編。

「やらずにすむならそうしたい」が口ぐせの奉太郎は、中学3年のとき、グループ単位で行う卒業制作を手抜きして、みんなに責められた。本当にただ面倒くさかっただけ? あえて汚名を着た奉太郎の行動に隠された意外な真実。(「鏡には映らない」)

 漫画部にも所属する摩耶花は、大事な創作ノートを盗まれた。いったい誰が、何のために? 事件の謎が解けたとき、摩耶花は新しい一歩を踏み出す。(「わたしたちの伝説の一冊」)

 日本のあちこちにありそうな地方の町の高校。そこで起こる小さな事件を通して、4人の過去や真意や目指す未来が少しずつ見えてくる。謎に挑むたびに、彼らは大人になっていく。

 若いって、いいなと、素直に彼らを見守りたくなる。(KADOKAWA 1480円+税)

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