「黒涙」月村了衛著

公開日: 更新日:

 現役大臣の病気という国家機密が中国政府に漏洩していたという失態を受け、警視庁公安部は対中国防諜作戦を目的とする特別チームを編成。警視庁組織対策部第2課の沢渡警部補も、中国語が堪能なことを買われチームに参加する。しかし彼は、中国黒社会の義水盟の幹部・沈と兄弟の契りを交わし内部情報を流す「黒色分子」だった。

 今回、公安が対象にする天老会は義水盟と敵対関係にあることから、沈もインドネシアの青年実業家ラウタンを沢渡の元へ送り込んで、公安の作戦を裏から支援する。ラウタンの活躍で作戦は順調に進んでいくかに見えたが、彼の前に謎の美女、シンシア・ユンが現れる。ラウタンは罠と知りつつもユンに近づいていくが、彼女には底知れぬ闇が潜んでおり、その深い闇へ引きずり込まれていく……。

 日本の警察小説には珍しく、中国、東南アジアの裏社会を背景に、熾烈な諜報活動を描くグローバルな視点の作品。沢渡が黒色分子になる経緯を描いた「黒警」の続編。(朝日新聞出版 1600円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  2. 2

    これぞ維新クオリティー!「定数削減法案」絶望的で党は“錯乱状態”…チンピラ度も増し増し

  3. 3

    「おこめ券」迫られる軌道修正…自治体首長から強烈批判、鈴木農相の地元山形も「NO」突き付け

  4. 4

    査定担当から浴びせられた辛辣な低評価の数々…球団はオレを必要としているのかと疑念を抱くようになった

  5. 5

    岡山天音「ひらやすみ」ロス続出!もう1人の人気者《樹木希林さん最後の愛弟子》も大ブレーク

  1. 6

    12月でも被害・出没続々…クマが冬眠できない事情と、する必要がなくなった理由

  2. 7

    やはり進次郎氏は「防衛相」不適格…レーダー照射めぐる中国との反論合戦に「プロ意識欠如」と識者バッサリ

  3. 8

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  4. 9

    黄川田地方創生相が高市政権の“弱点”に急浮上…予算委でグダグダ答弁連発、突如ニヤつく超KYぶり

  5. 10

    2025年のヒロイン今田美桜&河合優実の「あんぱん」人気コンビに暗雲…来年の活躍危惧の見通しも