「千住の夜討」喜安幸夫著
天保8(1837)年文月、両国米沢町一丁目の木戸番人の杢之助は、瓦版でかつて暮らしていた四ツ谷左門町の質屋が盗賊に襲われたことを知る。小屋の前を通り掛かった飾り職人の庄三郎の手にも同じ瓦版があった。話しかけた杢之助は、庄三郎の挙動がおかしいことに気づく。裏店に住む顔なじみのお糸に探らせると、庄三郎の妻・お里の話から、数日前に叔父と名乗る男が訪ねてきてから様子がおかしいという。杢之助は、庄三郎の叔父と名乗る男が両国広小路で興行を始めた操り人形一座の座員だと突き止める。その一座こそ左門町の質屋を襲った盗賊だった。
訳ありの木戸番人・杢之助が活躍する人気時代小説「大江戸木戸番始末」シリーズ第3弾。(光文社 560円+税)