「税金亡命」佐藤弘幸著

公開日: 更新日:

 近年、悪質な脱税者の数が増加の一途をたどり、その手口も複雑化しているという。また脱税スキームを入れ知恵する税理士や国税OBも存在し、国税庁も頭の痛いところ。本書は、アジア屈指のタックスヘイブン・香港を舞台に、事業家、国税OB、国税の3者の熾烈な戦いを描いた経済小説。

 産廃業と不動産業の2つの会社を経営する木戸は、自社ビルの売買で10億円の利益を得た。まともに申告すると3億円を税金にもっていかれてしまう。そこで木戸は、国税OBの税理士2人を抱えるMAC税理士法人に相談し、脱税スキームの指南を依頼する。MAC代表の松嶋は自らがオーナーである現地法人をうまく使って、木戸の利益を隠してしまう。こうした動きに不審を覚えたのが、東京国税局の統括国税実査官(情報担当)、通称「情報トージツ」の高松。高松の執拗な追及に木戸、松嶋はさらなる対抗策を施していく……。

 著者は本書の主役たる情報トージツ出身。出身者ならではのリアルな細部が読みどころ。(ダイヤモンド社 1600円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希にリリーバーとしての“重大欠陥”…大谷とは真逆の「自己チューぶり」が焦点に

  2. 2

    初の黒人力士だった戦闘竜さんは難病で入院中…「治療で毎月30万円。助けてください」

  3. 3

    吉沢亮は業界人の評判はいいが…足りないものは何か?

  4. 4

    「俺は帰る!」長嶋一茂“王様気取り”にテレビ業界から呆れ声…“親の七光だけで中身ナシ”の末路

  5. 5

    吉沢亮「国宝」150億円突破も手放しで喜べない…堺雅人“半沢直樹ブーム”と似て非なるギャラ高騰の行方

  1. 6

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 7

    巨人・田中将大が好投しても勝てないワケ…“天敵”がズバリ指摘「全然悪くない。ただ…」

  3. 8

    トイレ盗撮も…谷村新司が息子を叱れない“恥ずかしい過去”

  4. 9

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  5. 10

    西野カナ×Perfumeショットにファンびっくり…ザワつき巻き起こした「のっち不在ショット」を読み解く