「ローカルブックストアである福岡ブックス キューブリック」大井実著

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 福岡市のけやき通りにある小さな総合書店「ブックス キューブリック」は特色ある店づくりで、本好きには有名な書店。本書は、小さな書店が次々と閉店する時代に地方で書店を立ち上げた著者による本屋起業顛末記。本を媒体としたコミュニティーづくりへと発展していった経験をもとに、これからの本屋の可能性を探っていく。

 開業は2001年。地方には大型書店の出店が相次いでいたが、著者は15坪という狭さを逆に武器にしようと考えた。品揃えの豊富な大型店になればなるほど、客はすべての売り場をチェックするのが難しいからだ。

 配本に頼らずに、本好きの大人向けに自分が選書した本だけを置くことをモットーに始めた本屋は評判を呼び、やがてブックフェスティバルや著者を呼んでのトークイベントの開催、カフェやパン屋の開設へとつながっていく。ローカルだからこそ、小さい本屋だからこその戦略が面白い。

 いますぐ福岡に足を運びたくなること請け合いだ。(晶文社 1600円+税)

【連載】週末に読みたいこの1冊

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