「ローカルブックストアである福岡ブックス キューブリック」大井実著

公開日: 更新日:

 福岡市のけやき通りにある小さな総合書店「ブックス キューブリック」は特色ある店づくりで、本好きには有名な書店。本書は、小さな書店が次々と閉店する時代に地方で書店を立ち上げた著者による本屋起業顛末記。本を媒体としたコミュニティーづくりへと発展していった経験をもとに、これからの本屋の可能性を探っていく。

 開業は2001年。地方には大型書店の出店が相次いでいたが、著者は15坪という狭さを逆に武器にしようと考えた。品揃えの豊富な大型店になればなるほど、客はすべての売り場をチェックするのが難しいからだ。

 配本に頼らずに、本好きの大人向けに自分が選書した本だけを置くことをモットーに始めた本屋は評判を呼び、やがてブックフェスティバルや著者を呼んでのトークイベントの開催、カフェやパン屋の開設へとつながっていく。ローカルだからこそ、小さい本屋だからこその戦略が面白い。

 いますぐ福岡に足を運びたくなること請け合いだ。(晶文社 1600円+税)

【連載】週末に読みたいこの1冊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    嵐ラストで「500億円ボロ儲け」でも“びた一文払われない”性被害者も…藤島ジュリー景子氏に問われる責任問題

  2. 2

    トリプル安で評価一変「サナエノリスク」に…為替への口先介入も一時しのぎ、“日本売り”は止まらない

  3. 3

    27年度前期朝ドラ「巡るスワン」ヒロインに森田望智 役作りで腋毛を生やし…体当たりの演技の評判と恋の噂

  4. 4

    今田美桜に襲い掛かった「3億円トラブル」報道で“CM女王”消滅…女優業へのダメージも避けられず

  5. 5

    安青錦の大関昇進めぐり「賛成」「反対」真っ二つ…苦手の横綱・大の里に善戦したと思いきや

  1. 6

    元TOKIO松岡昌宏に「STARTO退所→独立」報道も…1人残されたリーダー城島茂の人望が話題になるワケ

  2. 7

    今田美桜が"あんぱん疲れ"で目黒蓮の二の舞いになる懸念…超過酷な朝ドラヒロインのスケジュール

  3. 8

    織田裕二「踊る大捜査線」復活までのドタバタ劇…ようやく製作発表も、公開が2年後になったワケ

  4. 9

    「嵐」が2019年以来の大トリか…放送開始100年「NHK紅白歌合戦」めぐる“ライバルグループ”の名前

  5. 10

    実は失言じゃなかった? 「おじいさんにトドメ」発言のtimelesz篠塚大輝に集まった意外な賛辞