「男爵の密偵 帝都宮内省秘録」真堂樹著

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 昭和5年、高級中華料理店「華月園」の給仕・虎弥太は、宮内省の官僚・御園尾男爵に呼び出される。虎弥太の本職は、御園尾の密命を受け、900家ある華族の不始末を処理する密偵だった。今回の密命は、料理人として石蕗伯爵家に潜入し、嗣子の春衡が次期当主にふさわしい人物か見極めるというものだった。早速、屋敷を訪ねると、春衡は噂通りの中華かぶれで、邸内は中華趣味であふれていた。先に応募していたキヨとの料理対決に負けた虎弥太だが、警備役として雇われる。オークションで西太后ゆかりの鼻煙壺を入手した春衡は、その帰り道に何者かに襲われたと話す。

 怪事件に巻き込まれた宮内省の密偵と青年華族を主人公にした昭和ロマンサスペンス。

(朝日新聞出版 600円+税)

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