「中東とISの地政学」山内昌之編著
現在、シリアとイラクではIS掃討戦や内戦の局面が進行しているが、山内は、シリアについてはトランプとプーチンが取引する可能性が高いとみる。シリアではロシア人が血を流しているが、米国人は血を流していないので、ロシアに優位性を認める。
一方、イラクについては、米国人が湾岸戦争、イラク戦争で血を流しているが、ロシア人の犠牲は皆無なので、イラクについては米国が、ロシアに対して権益を主張する。こういう割り切った論理を根底に、シリア問題とイラク問題の処理が進められるのではないか。
編著者と宮家邦彦氏、中川恵氏が混迷の中東情勢を読み解く。(朝日新聞出版 1900円+税)