「忘れられていた息子」ミロ・ガヴラン著、山本郁子訳

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 舞台は東ヨーロッパのバルカン半島に位置するクロアチア。幼いときからザグレブという町の施設に預けられていたもうすぐ20歳になるミスラヴという青年が、迎えに来た父と母に連れられ、まだ会ったことのない弟と妹のいるオモリア村に行くシーンから物語は始まる。ミスラヴの生まれつきの障害を苦にした母親が、「弟たちに普通の生活をさせるため」彼を施設に預けたが、父親が家族は一緒に住むものだと主張して彼を取り戻しに行ったのだ。兄の存在を知らなかった弟と妹や、彼の姿を好奇の目で見る町の人がいるオモリアでの暮らしに、ミスラヴはなかなか慣れることができなかったのだが……。

 本書は、クロアチアでヒットした原書を現地在住で数々の訳本を持つ訳者が担当したもの。新しい町で暮らすことになったミスラヴの日記という形で物語は進み、彼の目を通してクロアチアの人々の生活が語られる。

 純粋な主人公を待ち受ける運命が、切なく悲しい。(近代文藝社 1800円+税)

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