「BAR物語」川畑弘著

公開日: 更新日:

 開高健が通った赤坂のバー「木家下」のマスターがある日、開高から「いいバーの条件とは何ぞや?」と聞かれた。答えは「店がヒマなこと」。つまり客は見知ったマスターの顔を見て冗談を言ったり、愚痴を聞いてもらいたくてバーに来るのだと。本書には、そんな客の心をすくい取って至福の時間を与えてくれるバーテンダーの取っておきの話が収められている。

 95歳、バーテンダー歴70年というマスターがいた札幌の「バーやまざき」。80歳でいまだ見習バーテンダーという、亡き夫の後を継ぐ福島の老舗「木馬館」のお母さん。開店後3カ月で大震災に見舞われ、その1カ月後に再開した南相馬の「ウィザード」。開店55年、突然の病気で休店せざるを得なかったが、歴史ある店をなくすわけにはいかないという仲間の協力で無事、再開を果たした北新地の「樽」など。

 著者はバーテンダー向けのサントリーのPR誌「ウイスキーヴォイス」の編集長。巻末の本書に登場するバーのマップは旅人必携。(集英社インターナショナル 1200円+税)

【連載】週末に読みたいこの1冊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ前監督・吉井理人氏が佐々木朗希を語る「“返事もしなかった頃”から間違いなく成長しています」

  2. 2

    ロッテ前監督・吉井理人氏が大谷翔平を語る「アレを直せば、もっと良く、170kmくらい投げられる」

  3. 3

    矢沢永吉ライブは『永ちゃんコール』禁止で対策も…B'z『客の大熱唱』とも通じる“深刻な悩み”

  4. 4

    菊池風磨のカウコン演出に不満噴出 SNS解禁でSTARTO社の課題はタレントのメンタルケアに

  5. 5

    阿部監督のせい?巨人「マエケン取り失敗」の深層 その独善的な振舞いは筒抜けだった

  1. 6

    巨人ドラ1岡本和真 本塁打1本「小遣い1万円」に祖父母悲鳴

  2. 7

    「将軍 SHOGUN」シーズン2も撮影開始 2026年は柄本明、平岳大ら海外進出する日本人俳優に注目

  3. 8

    辰己涼介は楽天残留が濃厚 ソフトバンク東浜巨らFA行使“残り物”たちの気になる行方

  4. 9

    新大関・安青錦に追い風? 八角理事長が看破した横綱・大の里「左肩回復遅れ」

  5. 10

    ブルージェイズ岡本和真に「村上宗隆の2倍」の値段がついたカラクリ