「ライオン・ブルー」呉勝浩著

公開日: 更新日:

 主人公は、故郷である田舎の獅子追交番に配属されたばかりの警察官・澤登耀司巡査、30歳。表向きは倒れた父親の面倒を見るために希望しての異動だったが、本当の理由は、同期の長原信介がこの交番で働いていたのを最後に突然、失踪した理由を探るため。拳銃を持ったまま姿を消した長原には失踪する理由もなかった。何か事件に巻き込まれたのではと疑う澤登は、交番所長の福永和朋巡査部長や先輩警官の晃光大吾巡査らに探りを入れる。

 そんなとき、町のごみ屋敷と呼ばれていた家で火事が発生し、その場から家主の毛利淳一郎が遺体で発見された。澤登は、長原が失踪直前に毛利を訪ねていたことを知り、関連性を追い始めたのだが……。

 2015年に「道徳の時間」で第61回江戸川乱歩賞を受賞してデビューした新鋭作家の最新ミステリー小説。同期の失踪の謎を追う主人公の目を通して、息の詰まりそうな田舎の人間関係を追った末にたどり着く結末に愕然とさせられる。(KADOKAWA 1550円+税)

【連載】週末に読みたいこの1冊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  2. 2

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  3. 3

    高市政権マッ青! 連立の“急所”維新「藤田ショック」は幕引き不能…橋下徹氏の“連続口撃”が追い打ち

  4. 4

    YouTuber「はらぺこツインズ」は"即入院"に"激変"のギャル曽根…大食いタレントの健康被害と需要

  5. 5

    クマと遭遇しない安全な紅葉スポットはどこにある? 人気の観光イベントも続々中止

  1. 6

    和田アキ子が明かした「57年間給料制」の内訳と若手タレントたちが仰天した“特別待遇”列伝

  2. 7

    藤川阪神で加速する恐怖政治…2コーチの退団、異動は“ケンカ別れ”だった

  3. 8

    阪神・才木浩人が今オフメジャー行きに球団「NO」で…佐藤輝明の来オフ米挑戦に大きな暗雲

  4. 9

    「渡鬼」降板、病魔と闘った山岡久乃

  5. 10

    元大食い女王・赤阪尊子さん 還暦を越えて“食欲”に変化が