世界を吹き荒れる大衆扇動の嵐 「ポピュリズム」とは何か

公開日: 更新日:

「ポピュリズムと欧州動乱」国末憲人著

 先日の仏大統領選ではダークホースの独立系候補マクロンが勝利を収めたが、対抗馬となったマリーヌ・ルペン率いる国民戦線は、なんとこれが大統領選の決選投票まで進出した2回目だった。最終的な得票率は少なかったとはいえ、これは驚くべき事態だ。

 国民戦線の1回目の決選投票は2002年、当時人気低迷中だったシラク大統領との一騎打ちだった。このときも獲得した16.86%はあくまで低いものだったが、この数字の陰には欧州各国で着実に進行するポピュリズムの拡大があり、その世界的トレンドを象徴する出来事として見られたがゆえの大ショックだったのである。したがって今回のマリーヌの「健闘」はさらに明白な意味を持つ。

 本書の著者は朝日新聞で長年パリ支局に勤務したフランス通。その情報力を生かし、ルペン一家の経歴や姻戚関係までを細かく紹介し、フランスでは常識となっている国民戦線の姿をわかりやすく紹介している。(講談社 860円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    侍ジャパンに日韓戦への出場辞退相次ぐワケ…「今後さらに増える」の見立てまで

  2. 2

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  3. 3

    “新コメ大臣”鈴木憲和農相が早くも大炎上! 37万トン減産決定で生産者と消費者の分断加速

  4. 4

    侍J井端監督が仕掛ける巨人・岡本和真への「恩の取り立て」…メジャー組でも“代表選出”の深謀遠慮

  5. 5

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  1. 6

    新米売れず、ささやかれる年末の米価暴落…コメ卸最大手トップが異例言及の波紋

  2. 7

    藤川阪神で加速する恐怖政治…2コーチの退団、異動は“ケンカ別れ”だった

  3. 8

    矢地祐介との破局報道から1年超…川口春奈「お誘いもない」プライベートに「庶民と変わらない」と共感殺到

  4. 9

    渡邊渚“逆ギレ”から見え隠れするフジ退社1年後の正念場…現状では「一発屋」と同じ末路も

  5. 10

    巨人FA捕手・甲斐拓也の“存在価値”はますます減少…同僚岸田が侍J選出でジリ貧状態