「BUTTER」柚木麻子著

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 ここ数年、世間を騒がせている連続不審死事件の被告、梶井真奈子は、婚活サイトで知り合った男たちから金を奪い、3人を殺した罪に問われていた。

 この事件が注目されたのは、大勢の男を手玉に取った彼女が、若くも美しくもなく、おまけに太っていたことだ。

 だが、梶井は女としての自信に満ちていた。なぜか? 大手週刊誌の記者町田里佳は、事件の真相に迫ることで、自分の生きづらさにも向き合えるのではないかと思い、真奈子にアプローチを試みる。面会に成功した里佳は、真奈子の美食に対する執着ぶりを知り、彼女と話を合わせるためにバターたっぷりのこってりした食事を取り始める。痩せてスマートな体形は崩れ、それと比例するように精神的にも真奈子にのみ込まれていく。そんな里佳を心配する友人の伶子も、いつしか真奈子の魔手に取り込まれていく……。

 里佳、伶子、真奈子の互いを食い合うような展開は出色だが、出てくる料理の描写が精緻を極め、食欲をそそられてしまう。食べ過ぎにご用心を。(新潮社 1600円+税)

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