「RED」松田行正著

公開日: 更新日:

 ヒトラーは類いまれな編集者だったのではないか、と著者はいう。

「忘れられた過去の遺物を再発掘し、再編集(アレンジ)して、過去とつながっているかのように演出して見せる」「ヒトラーのスタイルにはムソリーニの影響が大きいが、再編集によってあたかもヒトラー独自のスタイルであるかのように装うことに成功した」「ヒトラーのプロパガンダという手法こそ編集の最たるものだ」

 そんな、独裁者にして希代の編集者ヒトラーのデザインの詳細と歴史的位置づけを解き明かした初めての書である。

 構成は、ファッション、デザイン、グラフィックス、イミテーション、ハーケンクロイツほか6章立て。120本以上のナチス映画と膨大な図版をもとにヒトラーの世界を解剖した意欲作。

(左右社 2700円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    安青錦は大関昇進も“課題”クリアできず…「手で受けるだけ」の立ち合いに厳しい指摘

  2. 2

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  3. 3

    マエケン楽天入り最有力…“本命”だった巨人はフラれて万々歳? OB投手も「獲得失敗がプラスになる」

  4. 4

    中日FA柳に続きマエケンにも逃げられ…苦境の巨人にまさかの菅野智之“出戻り復帰”が浮上

  5. 5

    今田美桜に襲い掛かった「3億円トラブル」報道で“CM女王”消滅…女優業へのダメージも避けられず

  1. 6

    高市政権の“軍拡シナリオ”に綻び…トランプ大統領との電話会談で露呈した「米国の本音」

  2. 7

    エジプト考古学者・吉村作治さんは5年間の車椅子生活を経て…80歳の現在も情熱を失わず

  3. 8

    日中対立激化招いた高市外交に漂う“食傷ムード”…海外の有力メディアから懸念や皮肉が続々と

  4. 9

    安青錦の大関昇進めぐり「賛成」「反対」真っ二つ…苦手の横綱・大の里に善戦したと思いきや

  5. 10

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ