「RED」松田行正著

公開日: 更新日:

 ヒトラーは類いまれな編集者だったのではないか、と著者はいう。

「忘れられた過去の遺物を再発掘し、再編集(アレンジ)して、過去とつながっているかのように演出して見せる」「ヒトラーのスタイルにはムソリーニの影響が大きいが、再編集によってあたかもヒトラー独自のスタイルであるかのように装うことに成功した」「ヒトラーのプロパガンダという手法こそ編集の最たるものだ」

 そんな、独裁者にして希代の編集者ヒトラーのデザインの詳細と歴史的位置づけを解き明かした初めての書である。

 構成は、ファッション、デザイン、グラフィックス、イミテーション、ハーケンクロイツほか6章立て。120本以上のナチス映画と膨大な図版をもとにヒトラーの世界を解剖した意欲作。

(左右社 2700円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  2. 2

    高市政権の物価高対策はもう“手遅れ”…日銀「12月利上げ」でも円安・インフレ抑制は望み薄

  3. 3

    元日本代表主将DF吉田麻也に来季J1復帰の長崎移籍説!出場機会確保で2026年W杯参戦の青写真

  4. 4

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  5. 5

    京浜急行電鉄×京成電鉄 空港と都心を結ぶ鉄道会社を比較

  1. 6

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  2. 7

    【時の過ぎゆくままに】がレコ大歌唱賞に選ばれなかった沢田研二の心境

  3. 8

    「おまえもついて来い」星野監督は左手首骨折の俺を日本シリーズに同行させてくれた

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾