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本城雅人作家

1965年、神奈川県生まれ。明治学院大学卒。スポーツ新聞の記者を経て09年「ノーバディノウズ」(第1回サムライジャパン野球文学賞)でデビュー。17年「ミッドナイト・ジャーナル」で第38回吉川英治文学新人賞を受賞。著書に「紙の城」「監督の問題」など多数。

何を言っても翼は体を竦めているだけ

公開日: 更新日:

 翔馬が問い詰めたところで、弟の翼は否定もせずに黙っている。母は銀行でまとめて下ろした金を、当座の生活費としてタンスの中の財布に保管する。翼が手をつけるかもしれないと思っていながら、母はそうしている。出来の悪い下の子への母親の甘さでもあるが、二十一歳にもなってそんなコソ泥みたいな… 

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【連載】連載小説「蹉跌」 本城雅人

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