北海道に生息する野生動物たちの一年を追いかけ、その暮らしぶりに迫る写真集「北の国に生きる、美しい野生動物12カ月」佐藤圭著

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「北の国に生きる、美しい野生動物12カ月」佐藤圭著

 北海道に生息する野生動物たちの一年を追いかけ、その暮らしぶりに迫る写真集。

 北海道の春は、一年で一番ドラマチックな季節。半年も雪に閉ざされる過酷な冬が終わり、植物が一気に花を咲かせると、動物たちの子育てが始まる。

 キタキツネの巣穴からは、生後1カ月ほどで子ギツネたちが顔を出し始める。その体毛は、意外にも黒っぽく、イメージと異なる。

 北海道のキツネといえば、明るいオレンジ色のキタキツネを思い浮かべるが、実は彼らとは異なる「十字狐(クロスフォックス)」も生息している。生息しているのは局所的で、警戒心が強く、人前には現れないのでその存在を知る人は少ないという。

 十字狐はその昔、キツネの毛皮が高値で売買されていたころ、千島列島などから繁殖用に連れてこられたキツネの子孫で、背中の美しい十文字模様をよりきれいに出すためにキタキツネとの交雑が行われた。

 ゆえに黒い体毛のキタキツネの子ギツネはその十字狐の血をひいている個体だそうだ。

 親から与えられた大好物のヘビを綱引きのように引っ張り合う子ギツネたちなど、雄雌で子育てをするキタキツネの子育てをレンズは追う。

 もちろん、今や北海道のトップアイドルともいえるシマエナガもいる。冬のまん丸ふわふわの姿とはちょっと異なり、子育て中のシマエナガはほっそりとしている。

 樹木の枝と枝の隙間を利用した巣は、模様まで巧妙に木の幹と一体化しており、その中に7~10羽の雛がひしめいている。

 多産なシマエナガの両親は一日中餌やりに忙しく、その姿はアイドルとはまた別の姿を見せてくれる。

 ほかにも、昼間から里山の畑のど真ん中で1匹のメスに何匹ものオスがプロポーズのために追いかけっこをする発情期のエゾユキウサギをはじめ、水分補給のために桜をはむ子育て中のエゾリスのお母さんや、鼻と鼻を合わせキスするようにお互いを確認するその子どもたち、著者が「世界でいちばんかわいい生き物」というエゾフクロウの雛など、待ちわびた春の到来に忙しく子育てに励む北海道の生き物たちの命をつなぐドラマを垣間見る。

 以降、北海道全域の高山に生息してはいるが幻といわれるほど遭遇率が低いエゾオコジョの夏毛の装いや、真っ赤な足が特徴的なケイマフリ、約80万羽が集結するウトウ、そしてこの島のみで繁殖するウミガラスなど、海鳥たちの日本最大の繁殖地でもある天売島に集まる鳥たちの姿を活写。陸と空の生き物全41種の一年を季節ごとに紹介する。

 中には昔から神の使いといわれている白いエゾシカなど、貴重なショットもある。

 北海道でも豊かな森は減り続け、フクロウが営巣する巨木も減り、動物たちは過酷な環境に追い込まれつつあるという。

 かわいい動物たちの姿に癒やされながら、彼ら彼女らの行く末も気になる。

(エクスナレッジ 2200円)

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