「ブラックボックス」伊藤詩織著
ジャーナリストを目指す著者は、TBSワシントン支局長山口敬之に就活の相談をした。寿司屋で飲んでいる時、突然意識を失い、山口のホテルの部屋でレイプされたことに気づく。1週間後、高輪署に強姦の被害を訴えたら、捜査員A氏は「よくある話だし、事件として捜査するのは難しいですよ」と言った。タクシーの運転手の証言などから逮捕状が出て、逮捕するはずだった当日、逮捕は取りやめになり、A氏もM検事も担当からはずされる。A氏は「ストップを掛けたのは警視庁のトップです」と言った。事件は不起訴処分になり山口は安倍晋三を取材した「総理」を出版する。
レイプの被害者が暴く、まるで途上国の警察のような日本の司法の実態をつづる。
(文藝春秋 1400円+税)