「日本の無戸籍者」井戸まさえ著

公開日: 更新日:

 自らも無戸籍児の親になってしまった著者が、1万人以上いるといわれる無戸籍問題の実態を伝えながら、戸籍制度について考察したテキスト。

 無戸籍者が存在するのは、民法772条で、離婚後300日以内に出生した子は、前夫が父親と規定されるため、それを避けるために出生届を出さない・出せない状態となっているケースや、親が貧困などの事情で出生届を出さない場合などさまざま。

 一方で、無戸籍者が戸籍を取得するためには必ず調停や裁判を経なければならず壁は高いという。無戸籍が原因でけがの治療や結婚をあきらめ、仕事もままならない青年や、戦争によって戸籍を失った人々などの例を紹介しながら、無戸籍者を生み出す社会構造をもたらしてしまった戸籍制度の不備を指摘する。

(岩波書店 840円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  2. 2

    【原田真二と秋元康】が10歳上の沢田研二に提供した『ノンポリシー』のこと

  3. 3

    カーリング女子フォルティウスのミラノ五輪表彰台は23歳リザーブ小林未奈の「夜活」次第

  4. 4

    3度目の日本記録更新 マラソン大迫傑は目的と手段が明確で“分かりやすい”から面白い

  5. 5

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  1. 6

    福山雅治&稲葉浩志の“新ラブソング”がクリスマス定番曲に殴り込み! 名曲「クリスマス・イブ」などに迫るか

  2. 7

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  3. 8

    松岡昌宏も日テレに"反撃"…すでに元TOKIO不在の『ザ!鉄腕!DASH!!』がそれでも番組を打ち切れなかった事情

  4. 9

    年末年始はウッチャンナンチャンのかつての人気番組が放送…“復活特番”はどんなタイミングで決まるの?

  5. 10

    査定担当から浴びせられた辛辣な低評価の数々…球団はオレを必要としているのかと疑念を抱くようになった