著者のコラム一覧
荒川隆之薬剤師

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

「デジタル依存」は身体・精神・行動に影響を及ぼし多面的に健康を蝕む

公開日: 更新日:

 スマホ、SNS、ゲームなどのデジタルデバイスは、いまや日常生活に深く入り込んでいます。その便利さの裏側で生まれるのが、ついつい使いすぎてしまう「デジタル依存(digital addiction)」という現象です。デジタル依存とは、スマホ依存、インターネット依存、ゲーム依存、SNS依存など、デジタル機器やサービスに強い執着を示す行動全般を指します。

 最近、薬剤師として気になるテーマの論文を読む機会がありました。若者のデジタル依存が、身体・精神・行動面の健康にどのような影響を及ぼしているかを評価した研究です。この論文は、世界39カ国、約150万人以上の若者を対象とした155件の研究を統合したメタ解析で、デジタル依存が若者の健康を多面的にショクむ可能性が示されていました。

 まず身体面では、デジタル依存の若者ほど過体重・肥満の割合が高く、睡眠トラブル(不眠や睡眠の質の低下)も有意に多いという結果でした。長時間のスクリーン視聴により座位時間が増え、体を動かす機会が減ることが背景にあると考えられます。

 特に見逃せないのは精神面への影響です。デジタル依存を有する若者では、うつ症状や不安、ストレス、ADHD症状のリスクが高いだけでなく、自殺念慮や自殺企図といった深刻な心理的負担との関連も強く示されました。これは単なる「ネットの使いすぎ」ではなく、心の健康に直接関わる問題であることを示唆しています。さらに、喫煙・飲酒・薬物使用といったリスク行動との関連も報告されており、単独の問題として切り離して考えるべきではないことが分かります。

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