「トレイルズ」ロバート・ムーア著 岩崎晋也訳
著者の旅は2009年アメリカ東部アパラチア山脈に沿って、メーン州からジョージア州まで約3500キロを約5カ月間かかって踏破した大冒険から始まる。この間彼は「誰がこの道(トレイル)をつくったのか、どうして存在するのか、そもそもなぜ道はあるのか」という疑問にとりつかれるようになる。
カナダ最東部ニューファンドランド島のフィヨルド湖を旅し、タンザニア・セレンゲティ国立公園で動物の道を探るべく、群れを車で、そして空から追い続ける。そして、また今は道路となって隠れてしまったネーティブアメリカン、チェロキー族の本来あったはずの道を探り、ついには東洋哲学の「道」について思考するに至る。
こうした膨大な経験を通して得られた思索の旅が本書である。17年の全米アウトドアブック賞を受賞。(A&FBOOKS 2200円+税)