「近代日本一五〇年」山本義隆著

公開日: 更新日:

 日本は開国と同時に、西欧近代の民主主義思想や人権思想はないがしろにしたまま、他方で西欧の科学技術を貪欲かつ効率的に吸収し、工業化としての近代化を成し遂げた。その後、敗戦でひとたびは頓挫したが、経済大国として復活。その間、一貫して列強主義・大国主義ナショナリズムに突き動かされ、エネルギー革命と科学技術の進歩に裏打ちされた経済成長を追求してきた。しかし、今、科学技術の破綻としての福島原発事故、経済成長の終焉を象徴する急激な人口減少という明治以降初めての事態に遭遇している。

 そんな「列強主義ナショナリズムに支えられた成長イデオロギー」という思想に突き動かされてきた日本の近代化の歩みを改めて総括する論稿。

 (岩波書店 940円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  2. 2

    中学受験で慶応普通部に進んだ石坂浩二も圧倒された「幼稚舎」組の生意気さ 大学時代に石井ふく子の目にとまる

  3. 3

    さすがチンピラ政党…維新「国保逃れ」脱法スキームが大炎上! 入手した“指南書”に書かれていること

  4. 4

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  5. 5

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  1. 6

    中日からFA宣言した交渉の一部始終 2001年オフは「残留」と「移籍」で揺れる毎日を過ごした

  2. 7

    有本香さんは「ロボット」 どんな話題でも時間通りに話をまとめてキッチリ終わらせる

  3. 8

    巨人は国内助っ人から見向きもされない球団に 天敵デュプランティエさえDeNA入り決定的

  4. 9

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  5. 10

    佐藤輝明はWBC落選か? 大谷ジャパン30人は空前絶後の大混戦「沢村賞右腕・伊藤大海も保証なし」