「したがるオスと嫌がるメスの生物学」 宮竹貴久著

公開日: 更新日:

 多くの子孫を残すことは生物としての命題であり、それは昆虫も変わらない。しかし、メスが産む卵には限度があるため、数だけでなく質がより重要になる。メスとオスでは繁殖戦略がまったく異なることから、「メスとオスの交尾と受精をめぐる利害の対立」とも呼ぶべき「性的対立」が生じる。進化生物学の見地から、昆虫たちのこの「性的対立」の世界を解説したサイエンステキスト。

 他のオスとの「精子競争」に勝つため精液に毒を持つよう進化したハエやペニスにトゲを持つゾウムシ、メスに食べられるのを避けるため、SMさながらにメスを糸で縛って交尾するクモ、さらに幾匹かと交尾後に受精する精子を選別するハエのメスなど。昆虫の知られざる繁殖戦略に驚嘆。(集英社 760円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    気温50度の灼熱キャンプなのに「寒い」…中村武志さんは「死ぬかもしれん」と言った 

  3. 3

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  4. 4

    巨人阿部監督はたった1年で崖っぷち…阪神と藤川監督にクビを飛ばされる3人の監督

  5. 5

    (4)指揮官が密かに温める虎戦士「クビ切りリスト」…井上広大ら中堅どころ3人、ベテラン2人が対象か

  1. 6

    U18日本代表がパナマ撃破で決勝進出!やっぱり横浜高はスゴかった

  2. 7

    日本ハム・レイエスはどれだけ打っても「メジャー復帰絶望」のワケ

  3. 8

    志村けんさん急逝から5年で豪邸やロールス・ロイスを次々処分も…フジテレビ問題でも際立つ偉大さ

  4. 9

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋

  5. 10

    (2)事実上の「全権監督」として年上コーチを捻じ伏せた…セVでも今オフコーチ陣の首筋は寒い