マガモのペニスはらせんを描いてメスを襲う!?

公開日: 更新日:

 ジュールズ・ハワード著、中山宥訳「生きものたちの秘められた性生活」(KADOKAWA 1900円+税)では、動物学を専門とする科学エッセイストが、自然界の神秘や進化といった大真面目な視点から、生きものたちのセックスライフの不思議を解き明かしていく。

 本書執筆のきっかけは、エディンバラ動物園でのパンダの繁殖に関する報道だったという。スコットランドでもパンダ繁殖の取り組みが盛んだが、なかなか成功には至らず、“パンダはセックス下手で絶滅しても仕方がない”“維持管理に金がかかり過ぎる”などの批判が噴出しているという。しかし、パンダの繁殖能力は弱いどころではなく、オスの精子数は他のクマ類の20倍以上という濃さ。むしろワイルドなセックスをする繁殖能力にたけた生きものであり、人間さえちょっかいを出さなければ万事健やかな子孫繁栄が望めるそうだ。

 生きものたちのセックスは実にユニークで、体が理にかなった進化を遂げている例も多い。著者が感嘆に値するセックスと評するのが、奄美諸島の固有種であるオットンガエルのそれだ。オスは進化の過程で指を1本多く獲得しており、先端には哺乳類の爪に似たトゲが生えている。セックス前のメスを巡る戦いの際に、相手のオスを突き刺す武器として用いるためだ。これほど野性的にセックスに挑む生きものはそういない。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    松井秀喜氏タジタジ、岡本和真も困惑…長嶋茂雄さん追悼試合のウラで巨人重鎮OBが“異例の要請”

  2. 2

    7代目になってもカネのうまみがない山口組

  3. 3

    巨人・田中将大と“魔改造コーチ”の間に微妙な空気…甘言ささやく桑田二軍監督へ乗り換えていた

  4. 4

    福山雅治のフジ「不適切会合」出席が発覚! “男性有力出演者”疑惑浮上もスルーされ続けていたワケ

  5. 5

    打者にとって藤浪晋太郎ほど嫌な投手はいない。本人はもちろん、ベンチがそう割り切れるか

  1. 6

    文春が報じた中居正広「性暴力」の全貌…守秘義務の情報がなぜこうも都合よく漏れるのか?

  2. 7

    DeNA藤浪晋太郎がマウンド外で大炎上!中日関係者が激怒した“意固地”は筋金入り

  3. 8

    収束不可能な「広陵事件」の大炎上には正直、苛立ちに近い感情さえ覚えます

  4. 9

    横浜・村田監督が3年前のパワハラ騒動を語る「選手が『気にしないで行きましょう』と…」

  5. 10

    吉村府知事肝いり「副首都構想」に陰り…大阪万博“帰宅困難問題”への場当たり対応で露呈した大甘な危機管理