「心を操る寄生生物」キャスリン・マコーリフ著、西田美緒子訳

公開日: 更新日:

 人の心を微生物たちが操っているのではないか、という世界の最新研究を紹介した刺激的な科学読み物。

 イギリスの寄生生物学者のジョアン・ウエブスターが名づけた「ネコとの危険な情事」といわれる奇妙な現象がある。ネズミは本来、捕食者であるネコに対して警戒心が強いが、おりの中でウサギとネコの尿を垂らして行動を観察したら、脳にトキソプラズマ原虫が感染し寄生しているネズミは驚いたことに、ネコの尿を垂らした場所の方に引き付けられその場に長くいたのだ。

 そこで立てられた仮説が「寄生原虫がネズミの神経系を刺激してネコへの恐怖心を減らし、ネコに食べられることで結果、寄生原虫はネコへ宿替えし、自らの生存を図る」というもの。この原虫には人の約30%が感染しており、人格形成や自殺願望にも関わっているというから面白い。(インターシフト 2300円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    さすがチンピラ政党…維新「国保逃れ」脱法スキームが大炎上! 入手した“指南書”に書かれていること

  2. 2

    国民民主党の支持率ダダ下がりが止まらない…ついに野党第4党に転落、共産党にも抜かれそうな気配

  3. 3

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  4. 4

    来秋ドラ1候補の高校BIG3は「全員直メジャー」の可能性…日本プロ野球経由は“遠回り”の認識広がる

  5. 5

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  1. 6

    国分太一問題で日テレの「城島&松岡に謝罪」に関係者が抱いた“違和感”

  2. 7

    小林薫&玉置浩二による唯一無二のハーモニー

  3. 8

    脆弱株価、利上げ報道で急落…これが高市経済無策への市場の反応だ

  4. 9

    「東京電力HD」はいまこそ仕掛けのタイミング 無配でも成長力が期待できる

  5. 10

    日本人選手で初めてサングラスとリストバンドを着用した、陰のファッションリーダー