「明治日本の産業革命遺産」岡田晃著
幕末に伊豆の代官を務めていた江川太郎左衛門英龍は、日本近海に外国船が頻繁に出没するようになっていたことから、1837年、幕府に伊豆の海防策強化を訴えた建議書を提出した。幕府の動きが鈍かったため、英龍は高島秋帆に入門して砲術を習得し、「韮山塾」を開く。大砲を鋳造する反射炉を研究し、鍋島直正に依頼されて佐賀藩の反射炉建設に協力した。
ペリー来航後、幕府の命令で伊豆・韮山に反射炉を建設。英龍は道半ばで倒れたが、息子の英敏が完成させ、その技術は釜石の高炉建設などに引き継がれて、日本の鉄鋼業発展の礎となる。
ほかに、石炭産業を育てた団琢磨ら、明治の近代工業化の基礎をつくったラストサムライを紹介する。
(集英社 1900円+税)