最新明治維新検証本特集

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「明治維新150年を考える」一色清、姜尚中ほか著

 2018年の今年は、明治元年から150年の節目の年。そこで今回は、明治維新を再検証した本や、この間の日本の軌跡を考察した本など、明治維新150年をテーマにした4冊を紹介する。



 一色清氏と姜尚中氏がモデレーターを務める連続講座シリーズの書籍化。各界の第一線で活躍する講師陣がそれぞれの視点から近代日本の150年をテーマに論じる。

 モデレーターによる基調講演では、維新後150年というタイムスパンで「これまでの日本、これからの日本」を考える。

 一色氏は、この150年が太平洋戦争の4年を挟んでちょうど前後が73年ずつになることに言及。脱亜入欧を目指して日露戦争に勝つまで、そして戦後の焼け野原から復興して「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と評されるまで、前後で歩んだ道は違うが、共に三十数年で世界にキャッチアップした。しかし、その後、それぞれ次の目標を失い混迷期に入っていったと総括。日本は、理想の自画像を描いて、それを目指して歩んでいくのが下手だと指摘する。

 姜氏は、150年の日本の軌跡を念頭にしながら、長崎の「端島」(通称・軍艦島)や福島第1原子力発電所、震災被災地などの現場を歩き、エネルギー問題から格差や教育まで、日本で今起きている問題について思索をめぐらす。

 その上で両者は対談で、近代日本は均衡ある国土の発展を目指してきたが、東京・名古屋・大阪にGDPの3分の1が集中する現状を取り上げ、リニアモーターカー完成でその分極化に拍車がかかると危惧する。

 その他、幕末から明治時代にかけて日本を訪れた外国人たちの目に映った意外な日本人の姿から、現代の日本人が得たもの、失ったものについて語る民俗学者の赤坂憲雄氏や、故郷の熊本から見た近代について語る映画監督の行定勲氏、日露戦争の戦費を外国から調達した高橋是清に始まる日本の財政政策について論じる財政社会学者の井手英策氏ら、全8回の講座を収録。(集英社 900円+税)

「明治維新とは何だったのか」一坂太郎著

 薩摩藩と長州藩という日本の端っこに位置する両藩が明治維新のイニシアチブを握ったのはなぜか。両藩の権力闘争の歴史を再検証しながら、この150年の間に書き換えられた史実を読み直す明治維新研究。

 それぞれが幕末までに財政の立て直しに成功し、西欧から最新の武器や軍艦を買えるほどの経済力があったことや、何度も滅亡の危機に陥り藩を支えるのは人であるとの認識から文武奨励・人材育成に力が注がれていたなど、辺境の両藩が歴史の表舞台に登場した背景を分析する。

 一方で、薩長は常に協力して近代日本を建設したわけではない。黒船来航から近代国家樹立までの歴史を詳細に振り返りながら、権力闘争を繰り返し、派閥を生み出していった薩長の功罪も考える。(創元社 1500円+税)

「西郷隆盛 維新150年目の真実」家近良樹著

 多くの日本人に愛されながら、これほどとらえ難く、謎に包まれた人物も他にいないという西郷隆盛の知られざる実態に迫る歴史読み物。

 若いときの西郷は直情径行型の傲慢な男で、人の好き嫌いも激しい神経質な人物だったそうだ。維新時には庶民の間ではほとんど無名だった西郷が、明治期に入るとすぐに圧倒的な人気を誇る国民的英雄になった。

 この時代の男には珍しく他人の前でも平気で涙を流したなど、その人間的魅力を多くのエピソードを交えながら分析。カリスマの等身大の姿に迫りながら、西郷が維新史に欠かすことのできない存在になった理由を解き明かす。(NHK出版 820円+税)

「幕末維新 まさかの深層」加来耕三著

 明治維新150周年を迎えた今の日本に、国を挙げて100周年を祝った半世紀前の熱狂はない。それは大久保利通が示した「富国強兵」「殖産興業」というスローガンのもとに150年走り続けてきたことへの反省があるからだ。

 国境がなくなり、産業革命を超える人工知能の登場で、第3の開国が迫る中、日本が次に進むべき道を考える時にスタート地点の明治維新にさかのぼる必要があると著者は言う。そうした視点から、最新の歴史研究の成果を踏まえ、明治維新を再検証した歴史テキスト。

 そもそも当時、「攘夷と開国」という二極の対立はなかった、オランダからの情報でペリー来航を事前に知っていた幕府がパニックになった真の理由など。知られざる事実を取り上げながら、明治維新の深層を掘り下げる。(さくら舎 1600円+税)









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