「日本の結界」安倍成道著
「結界」とは、悪しきもの、邪なものを中に入れない霊的バリアーのこと。本来は仏教用語で修行のために一定の空間を区切ることの意だったが、陰陽道を通して日本独特の呪術へと変貌し、現代に至っているという。
陰陽道の基礎をつくったのは安倍晴明だが、陰陽師は慈善事業で自発的に結界を張るわけではない。結界を張るには費用も掛かり、結界石を置く地主の許可も必要。つまり、今日でいうスポンサーの依頼で結界を張ったのだ。戦国時代には各地の武将から軍師として招かれ、多くの陰陽師が京都から全国に散らばった。そして、関東最大の結界である江戸城に結界を張ったのが、ご存じ、怪僧・天海僧正だった。
安倍晴明の血を継ぐ「水の家系」第27代陰陽師の著者が結界のすべてを明かす。
(駒草出版 1400円+税)