「東京に「いのちの森」を!」宮脇昭著
土地が平坦な大阪に比べて、東京は起伏が多い地形だったため、開発しきれず、特に下町と山の手を隔てる斜面に緑が残っていた。だが、現在は技術の進歩により斜面にもマンションを建てられるようになった。これは大変危険なことだ。
関東大震災後、後藤新平が抜本的な提案をしたのに、金がかかりすぎるとやらなかったため、第2次世界大戦の空襲で大きな被害が出た。地震などのとき、老人や赤ん坊を背負った母親が逃げられるように、火伏木とされる常緑広葉樹のタブノキやカシ類を線状に植えて道を造り、さらに逃げ場としてこれらの木々で囲んだ「立体的な、いのちを守る森」を造ることが必要だ。
東京が生き残るための、植物生態学者による提言の書。 (藤原書店 1600円+税)