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 四季の移り変わりを肌で感じ、野に咲く花をめでながら地場の食を存分に味わう生活に憧れている人は多いだろう。とはいえ、準備もなしに慣れない新天地に飛び込むのは難しい。まずは、先人が切り開いた田舎暮らしの様子をのぞいてみよう。週末に田舎に通う初心者コースから、道なき道を切り開く上級者コースまで4冊を紹介。

 たまたま訪れた土地の風景に魅了され、いつかこんな場所で暮らしてみたいと思ったことはないだろうか。

「今森光彦の心地いい里山暮らし12か月」(今森光彦著 世界文化社 2000円+税)の著者は、写真家として各地を旅するなかで比叡山のすそ野にある美しい里山に出合った。棚田が広がるだけの一見何もないその地こそ、肥えた土に生き物があふれる場所。年々そんな貴重な場が失われていくことに気づいた著者は、1000坪あまりの土地を手に入れ、ついに自らのアトリエと自然の楽園をつくり始める。

 まずは多様な生き物が利用しやすい雑木林をつくるため、山部分のヒノキを一本一本伐採する。かわりにクヌギやコナラの幼木を植え、平地部分は畑へ、農業用のため池は水辺の生き物がすみやすい池へとつくり変えた。本書は、26年もの歳月をかけて理想の楽園をつくり上げた著者の春夏秋冬の暮らしを美しい写真とともに紹介した一冊だ。

 早春、アトリエの畑地のあちこちにフキノトウが芽吹く。あぜ道整備の際に見つけたフキノトウの根を小まめに畑の隅に埋めて拡散してきたおかげで、いくらでも採れるフキノトウの芽は天ぷらやみそ和えにして毎年大事にいただく。近くの土手で頭をのぞかせているツクシの大群は、袴を取って甘辛く煮るのが定番。庭に植えた山椒の実はつくだ煮にしてごはんの友に、軟らかなヨモギの若葉は茹でて絞ってヨモギもちと化す。アトリエ裏の休耕地には一面のレンゲの畑があり、そこに友人の養蜂家がやって来て巣箱を並べ純度100%のレンゲ蜜を採る。この蜜を茹でた菜の花にかけて食べると抜群にうまいらしい。

 本書では、著者の庭で観察できる動植物134種のほか、里山の恵みを使った料理レシピ、ガーデニング、畑づくりの知恵なども紹介。自然をモチーフにした色鮮やかな切り絵も15点収録されており、里山暮らしを心底慈しむ様子が伝わってくる。

「楽しい山里暮らし実践術」大内正伸著

 山里暮らしを始めるときに必要なのは道具ではなく、何はなくとも生活に必要なワザ。これを知らないとやっかいな事態になりかねない。山の斜面の土が崩れてこないように石積みをして土留めをするコツ、山の水をどうやって引いてくるか、生ごみで堆肥をつくる法、トイレの問題。また重いものを動かすためのテコや滑車の使い方、建具の修理法まで、一から生活の場をつくるために知らなければならないことは山ほどある。本書は、それらの具体的なノウハウをイラスト付きで解説。のんびりとした山里暮らしのイメージとは真逆な、多忙な日常が手にとるようにわかるはずだ。(学研パブリッシング2600円+税)

「週末移住からはじめよう」友枝康二郎著

 田舎暮らしを夢見るものの、果たして自分にそんなことができるのか……と思うのなら、まず週末だけ田舎暮らしをする方法がある。著者は、八ケ岳に310坪の土地を手に入れて、平日は東京で仕事、週末は八ケ岳で過ごすという2拠点ライフをスタートした。

 都会と田舎を行き来するこの方法の利点は、田舎で家族が暮らしていけるか、気候の特色や土地柄、子どもの教育環境、今後、その場で収入を得られるかが模索できること。

 著者は12年間この方法を続けた末に53歳で完全移住に踏み切った。

 東日本大震災後、都会からの移住希望の相談者が増えたという。

 週末移住型から完全移住までさまざまな事例も紹介されており、自分に合った田舎暮らしを考える上で参考になりそうだ。(草思社 1500円+税)


「週末田舎暮らしの便利帳」金子美登監修

 田舎暮らしをどう始めるかのプランを立てるところから、家や畑の探し方、野菜や穀物の育て方、野山の恵みを味わう方法から、染色、蚊取り線香づくりなど手仕事の楽しみ方まで、細部にわたって田舎暮らしのハウツーを紹介。

 監修者の金子氏は埼玉県小川町で畑1.5ヘクタール、水田1.5ヘクタール、山林3ヘクタールを所有し、牛6頭と鶏200羽を飼育しているという田舎暮らしのエキスパートだ。

 すぐに田舎暮らしをスタートできなくても、まずは干し柿をつくりたい、畑づくりをしたいなど、必要な項目から読んで試してみるのもおすすめ。カラー写真を使って段階を追って紹介しているので、分かりやすい。常備しておけば、田舎暮らしが身近なものになること間違いなし。(成美堂出版 1200円+税)

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