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「外国人が熱狂するクールな田舎の作り方」山田拓著

 少子高齢化に過疎化と日本社会を悩ます難問を前に、クールジャパン戦略も新たな局面を迎えている。

 ◇

 岐阜県最北端の飛騨市で「クールな田舎をプロデュースする」会社を経営する著者。書名はマーケティング丸出しのようだが、本書の大半は著者の自分史。これが意外に面白い。米国系コンサル企業の社員だった当時、30歳目前で9・11同時多発テロに遭遇。「先進国」の薄弱さに衝撃を受け、その後、夫婦で約1年半の海外放浪の旅に出たという。

 その後、日本の田舎に住みつこうと里山を探すも、何の人脈もない身ではとうてい無理。ようやく飛騨古川に縁ができたものの、田舎の濃密な人間関係に絡むのは、並大抵の苦労ではなかったはずだ。

 ユーモラスな筆致は周囲への配慮だろうから、その分は割り引いて読んだほうがいいだろう。土地の有力者の手づるで観光協会のアドバイザー契約を得たものの、市長選でトップが代わるとすべてご破算。それでも県庁の若手職員の協力で公的助成を受け、半ば手弁当の実績づくりにまい進。

 隣の高山市を訪れた外国人旅行者に声をかける「ポン引き営業」の話など、さりげなく具体例が披露されてもいる。ネットを駆使した空中戦と地道な現場営業の地上戦の組み合わせの話なども、体験談を通して紹介。最後にきて総まとめのアドバイスが勢ぞろいする。(新潮社 740円+税)

「ドイツのコンパクトシティはなぜ成功するのか」村上敦著

 冒頭、独フライブルクと青森市の比較がある。どちらも人口30万人規模で面積や諸条件も似ている。だが、前者は平日昼間から目抜き通りに人があふれ、後者は閑散。青森では1人1台の車がないと暮らせないが、フライブルクでは全人口の7割が路面電車の停留所から300メートル以内に住むという。なぜ、かくも違うのか。実はドイツでも地方衰退の兆しはあった。それでも、長期で多面的な取り組みによって、今日の安定した地域共同体が維持されている。

 単なるマーケティングではない、本格的な都市行政・計画論を含んだ議論。特に自動車や自転車などを町づくりに生かす視点がいい。地方の議員サンたちに、ぜひ読んでほしい好著。(学芸出版社 2200円+税)

「関係人口をつくる」田中輝美著

 島根県出身で若いころは都会に憧れ、故郷を「恥ずかしい」と思っていた著者。阪大卒業後、地元紙「山陰中央新報」の記者として働いたが、東京支社に転勤して通勤ラッシュを経験、故郷の良さを再認識。しかも本社に戻ってみると若い世代の意識は大きく変わり、起業志向が広がっていた。

 一念発起して阪大の大学院に入学。そこで出合ったのが「関係人口」の考え方。従来は「都会から田舎に移住=定住」だったが、リピーターとして定期的に訪れては特産品を買うような「地元ファン」まで、その地域の潜在的な人口として見なすというものだ。要は返礼品目当てのふるさと納税だって「関係人口」の入り口として捉えればいいのだ。

 記者らしい、分かりやすい文章で書かれた地域おこし社会学の実践。(木楽舎 1400円+税)


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