「方丈の孤月」梓澤要著

公開日: 更新日:

 鴨長明は都を出て、法界寺の三重の塔の近くに方丈の庵を建てて住むことにした。この地で念仏三昧の暮らしをするつもりなのに、山はたそがれ時には魑魅魍魎がうごめく魔境となり、平静を装う覇気さえ出ない。

 長明は下鴨神社の名門神官の家に生まれた。兄は侍女が産んだ庶子だったので、自分が南大路家を継ぐつもりだったのに、父は、本家である菊宮家の修子の婿になって本家を継げと言う。だが、修子の寝所に迎え入れられたとき浮かんだのは、かつて糺の森で出会った、高倉帝の寵姫、小督の局に仕える凜子の面影だった。

 神職として出世を願ったが挫折し、大飢饉や大地震などを体験して出家、山奥の庵で世の無常を見つめた男の生涯を描く。

(新潮社 1700円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    バナナマン日村が簡単に復帰できそうにない「もう1つの理由」…レギュラー11本抱える人気者のジレンマ

  2. 2

    愛子さまが8月に伊勢神宮「式年遷宮」視察へ 将来は「祭主」を継ぐ可能性も

  3. 3

    検察組織は落ちるところまで落ちた 東大法卒の「特捜部エース」が“ヒモ”とは…世の中真っ暗闇

  4. 4

    三山凌輝「裏切り愛」でも愛娘・趣里に離婚を勧められない水谷豊&伊藤蘭の悲痛

  5. 5

    眞鍋かをり「愛子天皇待望論」は“陰謀論”発言が波紋…高学歴タレントコメンテーター生き残りの厳しい現状

  1. 6

    「ブルーカラー・ビリオネア」には到底なれない…60代の元ブルーカラーは今無職

  2. 7

    来春の統一地方選の争点は「皇室典範」再改正で決まり 高市内閣支持率急落で野党にも一筋の光明

  3. 8

    文春が報じた中居正広「性暴力」の全貌…守秘義務の情報がなぜこうも都合よく漏れるのか?

  4. 9

    一番驚いているのは自民に入れた有権者 「数の力」をなぜ、こんなバカげたことばかりに使うのか

  5. 10

    今夏の専大松戸の継投策が「エース→2番手」ではなく「2番手→エース」の理由…いざ千葉県大会決勝へ