「方丈の孤月」梓澤要著

公開日: 更新日:

 鴨長明は都を出て、法界寺の三重の塔の近くに方丈の庵を建てて住むことにした。この地で念仏三昧の暮らしをするつもりなのに、山はたそがれ時には魑魅魍魎がうごめく魔境となり、平静を装う覇気さえ出ない。

 長明は下鴨神社の名門神官の家に生まれた。兄は侍女が産んだ庶子だったので、自分が南大路家を継ぐつもりだったのに、父は、本家である菊宮家の修子の婿になって本家を継げと言う。だが、修子の寝所に迎え入れられたとき浮かんだのは、かつて糺の森で出会った、高倉帝の寵姫、小督の局に仕える凜子の面影だった。

 神職として出世を願ったが挫折し、大飢饉や大地震などを体験して出家、山奥の庵で世の無常を見つめた男の生涯を描く。

(新潮社 1700円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ベネズエラ戦惨敗は井端監督の「自業自得」…リリーフ崩壊は昨年末から始まっていた

  2. 2

    大谷も「勝てる要素のある試合」と悔いた 侍J最悪のWBC8強止まり…井端監督チグハグ采配の痛恨

  3. 3

    小栗旬がハリウッド“資本”映画で主演も… トラウマ級の英語力と「スター」への高い壁

  4. 4

    侍J選手を“殺した”井端監督の偏重起用、場当たり、塩漬け…こうして結束力に亀裂が生じた

  5. 5

    国立大学なら入学辞退率がゼロに近いはずだけど実態は? 有名私立と天秤にかけられる意外な大学

  1. 6

    「国宝」日本アカデミー賞10冠の陰で…森七菜“最優秀助演女優賞”逃した不運と無念

  2. 7

    侍Jを苦しめるNPB「選手ファースト」の嘘っぱち トレーナーの劣悪待遇に俳優・渡辺謙もビックリ?

  3. 8

    広瀬すず 映画賞受賞ラッシュでも残された大仕事「大河ドラマ出演」への“唯一のネック”

  4. 9

    「ガキ使」の没個性化が進む? 松本人志の“週替わりCM”で「本編」が希薄化の危機

  5. 10

    黄川田こども担当相の“ポンコツ答弁”が炸裂! 立憲・蓮舫氏との質疑で審議が3回も中断する醜悪