「鴨長明-自由のこころ」鈴木貞美著

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 東日本大震災の折、多くの人が再び「方丈記」を手にしたという。本書は、その方丈記と歌論書「無名抄」、そして仏教にまつわる伝承を編んだ「発心集」の3作を読み解きながら、著者である鴨長明の謎に包まれた実像に迫り、その世界観が現代人の心に響く理由を考察する古典読み物。

 京都・賀茂御祖神社(下鴨神社)の神職の子として生まれた鴨長明は、父方の祖母の家を継ぐため家を出て琵琶と和歌の道に進む。神職の道を早々に断念、そして継ぐはずだった祖母の家も出た鴨長明は、50歳近くになって、新古今和歌集編纂の動きの中で一躍歌人として認められる。その生い立ちまでさかのぼり、「数寄」の心や独自の仏教思想がどのように培われたのかを探る。(筑摩書房 860円+税)


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