「老いと孤独の作法」山折哲雄著

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 現代の日本人は「一人で生きる、一人で立つ、一人で暮らす」ことを否定的にとらえるばかりで、その本質的価値を忘れ去ろうとしていると宗教学者の著者は指摘する。人口減少、高齢社会を迎える今こそ、人間の基本的な教養としての「一人」の意味と価値を考えるべきだと説く氏が、長い第二の人生をいかに生き、いかに死んでいくかを考察したエッセー集。

 鴨長明の「方丈記」の世界観や、西行ら隠遁者のライフスタイルを紹介し、彼らの生き方が日本の歴史全体を貫く「一人で生きること」の大切さを浮かび上がらせていると説く。(「一人で生きることの意味と価値」)

 その他、天皇の生前退位などにも触れ、老いと孤独を楽しむ日本の豊かな教養の伝統に再び光を当てる。

(中央公論新社 860円+税)


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