「おやつが好き」坂木司著

公開日: 更新日:

 著者が子どもの頃、頂き物の空也もなかが出された。皮は香ばしいのに上あごにひっつかない。3つ目を食べていたら、母に「ああ、そんなばくばく食べちゃって……」ととがめられた。銀座の有名店のもなかなので、そんな食べ方をするものではない、と。

 数年後、著者は歴史の教科書で空也の名に再会する。銀座の和菓子店「空也」の創業者は、空也上人が行っていた踊り念仏の「関東空也衆」のひとりだった。もなかの形も、踊り念仏の時に叩く瓢箪がモチーフだと知った。(「空也―空也双紙と黄味瓢」)

 他に、維新號の中華まんや、熊本県の風雅巻きなどに関するエッセーや、短編小説など、おいしいもの満載で肥満や糖尿病の人には目の毒な面白本。

(文藝春秋 1250円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  2. 2

    高市政権の物価高対策はもう“手遅れ”…日銀「12月利上げ」でも円安・インフレ抑制は望み薄

  3. 3

    元日本代表主将DF吉田麻也に来季J1復帰の長崎移籍説!出場機会確保で2026年W杯参戦の青写真

  4. 4

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  5. 5

    京浜急行電鉄×京成電鉄 空港と都心を結ぶ鉄道会社を比較

  1. 6

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  2. 7

    【時の過ぎゆくままに】がレコ大歌唱賞に選ばれなかった沢田研二の心境

  3. 8

    「おまえもついて来い」星野監督は左手首骨折の俺を日本シリーズに同行させてくれた

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾