「おやつが好き」坂木司著

公開日: 更新日:

 著者が子どもの頃、頂き物の空也もなかが出された。皮は香ばしいのに上あごにひっつかない。3つ目を食べていたら、母に「ああ、そんなばくばく食べちゃって……」ととがめられた。銀座の有名店のもなかなので、そんな食べ方をするものではない、と。

 数年後、著者は歴史の教科書で空也の名に再会する。銀座の和菓子店「空也」の創業者は、空也上人が行っていた踊り念仏の「関東空也衆」のひとりだった。もなかの形も、踊り念仏の時に叩く瓢箪がモチーフだと知った。(「空也―空也双紙と黄味瓢」)

 他に、維新號の中華まんや、熊本県の風雅巻きなどに関するエッセーや、短編小説など、おいしいもの満載で肥満や糖尿病の人には目の毒な面白本。

(文藝春秋 1250円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  2. 2

    これぞ維新クオリティー!「定数削減法案」絶望的で党は“錯乱状態”…チンピラ度も増し増し

  3. 3

    「おこめ券」迫られる軌道修正…自治体首長から強烈批判、鈴木農相の地元山形も「NO」突き付け

  4. 4

    査定担当から浴びせられた辛辣な低評価の数々…球団はオレを必要としているのかと疑念を抱くようになった

  5. 5

    岡山天音「ひらやすみ」ロス続出!もう1人の人気者《樹木希林さん最後の愛弟子》も大ブレーク

  1. 6

    12月でも被害・出没続々…クマが冬眠できない事情と、する必要がなくなった理由

  2. 7

    やはり進次郎氏は「防衛相」不適格…レーダー照射めぐる中国との反論合戦に「プロ意識欠如」と識者バッサリ

  3. 8

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  4. 9

    黄川田地方創生相が高市政権の“弱点”に急浮上…予算委でグダグダ答弁連発、突如ニヤつく超KYぶり

  5. 10

    2025年のヒロイン今田美桜&河合優実の「あんぱん」人気コンビに暗雲…来年の活躍危惧の見通しも