「和菓子のアン」坂木司

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「デパ地下」がブームになったのは21世紀に入ってからのことらしいが、いまやすっかり定着し、マカロンやラスクなどなどのスイーツも、デパ地下を通じて有名になったといわれている。本書は、デパ地下に出店している和菓子屋が舞台。

【あらすじ】梅本杏子は身長150センチで体重57キロ。小学校の頃のあだ名は「コロちゃん」。いささか太めの18歳だ。高校を卒業したものの、専門学校に行くほど好きなことはなく、かといって大学に行きたいって思うほど勉強が好きじゃないし、いきなり就職というのもぴんとこない。

 というわけで、現在は自宅で無職状態。このままじゃ、ただのニートだ、何かバイトでもと探していたところに目に飛び込んできたのが、デパ地下に出店している「和菓子舗・みつ屋」のアルバイト募集だった。

 面接後、即採用されて、いよいよアルバイトが始まるのだが、見ること聞くことはじめてのことばかり。そんな杏子を和菓子の奥深い世界へ導いてくれるのが店長の椿はるかと職人志望のイケメン社員の立花早太郎。ある日のこと、以前、上生菓子を上司のお使いで買いに来た近所のOLが奇妙な組み合わせの注文をした。注文の内容を聞いた店長は、そこからOLが勤めている会社の内紛を言い当ててしまう。最初はイケメン過ぎて苦手だと思っていた立花も、実は内面がまるっきりの乙女だとわかってからは、良き先輩としてなにかと頼る存在に――。

【読みどころ】クリーニング店を舞台にミステリーに仕立てた「切れない糸」の作者だけあって、和菓子とミステリーを見事に組み合わせて味わい深い読み物にこしらえたのは、さすが。和菓子だけでなくデパ地下のバックヤードのウンチクもたっぷり。 <石>

(著光文社 667円+税)

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