「二度寝とは、遠くにありて想うもの」津村記久子著

公開日: 更新日:

 芥川賞作家が日常の出来事と自らの思いをつづったエッセー集。

 人間の体温のフィードバックだけで温かくしてくれる「布団」は昨今のエネルギー事情を考えると、「抜きんでてステキな人間の発明」だと絶賛。そんな布団への敬愛の思いが募り、ついに布団に話し掛けるようになってしまったと告白。

 他にも、髪の毛だと信じていた額の生え際の毛が、生活の不規則な女性に生えやすい「伸びない毛」だと知り、怒りのあまり剃ってしまった話や百貨店のとある店で名物のお菓子を求めて並ぶ長い行列の静かさに興味を抱き、行列嫌いだが並んでみた体験記、そして会社員時代のたまってしまった裏紙の使い方など。

 飾らない文章が、クスリとした笑いと共感を呼ぶ。

 (講談社 660円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    安青錦の大関昇進めぐり「賛成」「反対」真っ二つ…苦手の横綱・大の里に善戦したと思いきや

  2. 2

    横綱・大の里まさかの千秋楽負傷休場に角界から非難の嵐…八角理事長は「遺憾」、舞の海氏も「私なら出場」

  3. 3

    2026年大学入試はどうなる? 注目は公立の長野大と福井県立大、私立は立教大学環境学部

  4. 4

    東山紀之「芸能界復帰」へカウントダウン着々…近影ショットを布石に、スマイル社社長業務の終了発表か

  5. 5

    「総理に失礼だ!」と小池都知事が大炎上…高市首相“45度お辞儀”に“5度の会釈”で対応したワケ

  1. 6

    大関取り安青錦の出世街道に立ちはだかる「体重のカベ」…幕内の平均体重より-10kg

  2. 7

    日中対立激化招いた高市外交に漂う“食傷ムード”…海外の有力メディアから懸念や皮肉が続々と

  3. 8

    義ノ富士が速攻相撲で横綱・大の里から金星! 学生相撲時代のライバルに送った痛烈メッセージ

  4. 9

    同じマンションで生活を…海老蔵&米倉涼子に復縁の可能性

  5. 10

    独立に成功した「新しい地図」3人を待つ課題…“事務所を出ない”理由を明かした木村拓哉の選択