• facebook  
  • twitter  
  • Facebook Messenger
北上次郎
著者のコラム一覧
北上次郎評論家

1946年、東京都生まれ。明治大学文学部卒。本名は目黒考二。76年、椎名誠を編集長に「本の雑誌」を創刊。ペンネームの北上次郎名で「冒険小説論―近代ヒーロー像100年の変遷」など著作多数。本紙でも「北上次郎のこれが面白極上本だ!」を好評連載中。趣味は競馬。

「ディス・イズ・ザ・デイ」津村記久子著

 ワールドカップが開催中だが、サッカーにはいろいろあって、ワールドカップだけがサッカーではない。本書は、国内サッカーリーグの2部を舞台にした作品集だ。

 しかも1部昇格の希望があるチームも登場するが、大半は中位に甘んじているか、降格の危機にあるチーム。それでも応援し続けるサポーターの日々を描いていく。そうなのである。サッカー小説とはいっても、本書は選手を描くのではなく、徹底してサポーターのドラマを描いていく。

 たとえば、社会人になってから松江04のファンになった周治が、父方の祖母を松江に招待することを思いつく顛末を描くのが「おばあちゃんの好きな選手」。父方の祖母といっても、周治の両親は離婚しているので、会ったのは母方の祖母の通夜のときだけ。そのときに、おばあちゃんが松戸アデランテロのファンであることを知り、その1年後に松江04のファンとなった周治がおばあちゃんを思い出して招待するというわけ。ちなみに、松戸アデランテロと松江04はともに2部の中位にいるチームで、最終節に勝っても負けてもさして順位に影響はない。

「来年は自分が松戸に松江を見に行きます」と周治が言うと、おばあちゃんが少し驚いたように目を見開くラストがいい。希望があると生きる意欲が湧いてくる。周治よ、君はいい青年だ。おばあちゃんと一緒に、私たちもまた、ほっこりとした気分になる。

 (朝日新聞出版 1600円+税)

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

最新のBOOKS記事

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    キムタクは“御一行”で…被災地を単身訪れた斎藤工との差

  2. 2

    小川アナの左腕が物語る…嵐・櫻井翔“新恋人報道”の違和感

  3. 3

    元SMAP3人は自由を謳歌 シャッフルして新たな仕事が急増中

  4. 4

    徳永有美アナが古巣に復帰 「報ステ」現場は大ブーイング

  5. 5

    大激怒から落胆へ…爆問・太田“裏口入学”報道の複雑胸中

  6. 6

    太田光“裏口”報道は法廷へ 光代社長「橋下先生に委任状」

  7. 7

    日本人拘束は進展ナシ…「安倍3選」を阻む北朝鮮の仕掛け

  8. 8

    流した浮名は数知れず 前田敦子&勝地涼“電撃婚”の舞台裏

  9. 9

    県警・消防は380人動員 なぜ理稀ちゃんを発見できなかった

  10. 10

    巨悪に甘い日本の大メディア 米新聞トランプ一斉批判で露呈

もっと見る