「上級国民/下級国民」橘玲著

公開日: 更新日:

 ネットに蔓延(まんえん)する「上級国民/下級国民」という表現には、努力によって階級を移動できる「上層階級/下層階級」とは異なり、個人の努力が役に立たない冷酷な自然法則のようなものというニュアンスが込められている。著者は、いったん下級に落ちてしまえば、下級として老い、死んでいくしかなく、幸福な人生を手に入れられるのは上級だけとの思いを、多くの日本人が抱いていると指摘する。

 本書は、バブル崩壊後の労働市場がどのように下級国民を生み出したのかを解説。さらに下級国民が共同体からも性愛からも排除され、結果的に下級は生涯独身、上級は事実上の一夫多妻を実現している事実を明らかにする。日本だけでなく世界中で進行する、こうした分断の正体を論じた社会論。

(小学館 820円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    福山雅治「フジ不適切会合」参加で掘り起こされた吉高由里子への“完全アウト”なセクハラ発言

  2. 2

    福山雅治「ラストマン」好調維持も懸案は“髪形”か…《さすがに老けた?》のからくり

  3. 3

    夏の甲子園V候補はなぜ早々と散ったのか...1年通じた過密日程 識者は「春季大会廃止」に言及

  4. 4

    参政党・神谷宗幣代表 にじむ旧統一教会への共鳴…「文化的マルクス主義」に強いこだわり

  5. 5

    【広陵OB】今秋ドラフト候補が女子中学生への性犯罪容疑で逮捕…プロ、アマ球界への小さくない波紋

  1. 6

    福山雅治、石橋貴明…フジ飲み会問題で匿名有力者が暴かれる中、注目される「スイートルームの会」“タレントU氏”は誰だ?

  2. 7

    広陵問題をSNSの弊害にすり替えやっぱり大炎上…高野連&朝日新聞の「おま言う」案件

  3. 8

    桑田真澄が「KKドラフト」3日後に早大受験で上京→土壇場で“翻意”の裏側

  4. 9

    参政党・神谷宗幣代表の「質問主意書」がヤバすぎる! トンデモ陰謀論どっぷり7項目に政府も困惑?

  5. 10

    「時代に挑んだ男」加納典明(38)同年代のライバル「篠山紀信と荒木経惟、どっちも俺は認めている」